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優れた戦略とは筋の良いストーリー『ストーリーとしての競争戦略』【読書】

 
こんにちは、ほこだてです。

本日は、昨年出版されて以来、今もなお話題になっている経営戦略本をご紹介します。


ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件
楠木 建 (著)

【目次】
第1章 戦略は「ストーリー」
第2章 競争戦略の基本論理
第3章 静止画から動画へ
第4章 始まりはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」


著者の楠木建氏は、一橋大学大学院の教授。

本書の冒頭で氏は、自分は学者であり、いわゆるビジネスの「実務経験」はないと言い切りながらも、「(経営には)即効性のある処方箋も、優れた戦略の「法則」もありません。 しかし、優れた戦略の「論理」は確かにあるのです」と語り、学者ならではのポジショニングで膨大な研究と取材によって紡ぎ出された戦略論を実務家に向けて示す、といった姿勢を打ち出しています。

「戦略の神髄は思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある」と本書の帯にあるように、本書の構成もまたストーリー性を帯びたものになっており、500ページを超えるボリュームながら一気に面白く読ませていただきました。

私的には、ダニエル・ピンクの名著『ハイ・コンセプト』からの文脈で、議論よりは「物語」(ストーリー)が重要であるとする考え方が経営戦略にも繋がっていると学ぶことができ、とても多くの気づきを得ることができました。



■気づきのチェックポイント



優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリーだ


戦略を構成する要素がかみあって、全体としてゴールに向かって動いていくイメージが動画のように見えてくる。 全体の動きと流れが生き生きと浮かび上がってくる。 これが「ストーリーがある」ということです


どんな戦略ストーリーでも、エンディングは決まっています。 それは「持続的な利益創出」というハッピーエンドです。 (中略) エンディングは決まっているので、終わりから逆回しに考えたほうが、一貫したストーリーを組み立てやすいのです


優れた戦略家は、機会や脅威を受けてある特定のアクションをとるときに、それがストーリー全体の文脈でどのような意味を持つのか、それを取り巻く他の構成要素とどのように連動し、競争優位の構築や維持にとってどのようなインパクトを持っているのかを深く考えます。 ストーリーという視点がもたらす洞察を基準にして、新しい要素を取り込み、その一方でこれまで手がけていた打ち手を廃除する、こうした微調整の繰り返しで戦略ストーリーは徐々に練り上げられていくものです


コンセプトは最終的には短い言葉として表現されます。 それは、一言でいってそのビジネスが本当のところ何であり、何ではないのかを凝縮して表出する言葉です


誰に何を売っているのか。 見たままであれば、答えは自明です。 しかし、「本当のところ、何を売っているのか」というのがポイントです。 PCの会社は見たままでいえばPCを売っているわけですが、本当のところ、売っているものはPCではありません。 (中略) 本当のところ顧客が何にお金を払っているかというと、PCを使うことによって得られる何かなのです


数値目標の設定はストーリーを実際に動かすうえでの必須の作業工程ではありますが、「数字」だけではコンセプトにはなりません。 (中略) 「数字よりも筋」です。 優れたコンセプトが筋のよいストーリーを駆動していけば、数字は後からついてきます。 この順番が逆転してしまえば本末転倒です。 数字も実現できません


「コンセプトは人間の本性を捉えるものでなくてはならない」 (中略) 人間の本性とは、要するに、人はなぜ喜び、楽しみ、面白がり、嫌がり、悲しみ、怒るのか、何を欲し、何を避け、何を必要とし、何を必要としないのか、ということです


できるだけ賞味期限の長いストーリーをつくるためにも、人間の変わらない本性を捉えたコンセプトが大切になります。 事業を取り巻く環境や機会は常に変化するものです。 絶えず変化していく環境や機会の表層を追いかけ回してしまうと、結局のところ目が回るだけで、筋の良いストーリーは生まれません


人間の本性を見つめる。 それは「マーケティング調査をして顧客のニーズを知りましょう」という話とはまるで異なります。 顧客のことを知悉しなければコンセプトは生まれませんが、だからといって顧客の声をいくら聞いても、人間の本性を捉えたコンセプトにはなりません。 顧客はそもそも「消費すること」「買うこと」にしか責任がないからです。 責任がない人に過剰の期待を寄せるのは禁物です


自分ほどリアリティを持って理解できる「顧客」は他にはありません。 (中略) ごく日常の生活や仕事の中で、嬉しかったこと、面白いと思ったこと、不便を感じたこと、頭にきたこと、疑問に思ったこと、そうしたちょっとした引っかかりをやり過ごさず、その背後にある「なぜ」を考えることを習慣にする


「それだけでは一見して非合理だけれども、ストーリー全体の文脈に位置づけると強力な合理性を持っている」という二面性、ここにこそクリティカル・コアの本質があります。 (中 略) 競争相手がわれわれのしていることを非合理だと考えていれば、たとえ 「まねしてください」とお願いしても「イヤだよ」と向こうから断ってくれるでしょう


「これから」の外的機会よりも、「これまで」の自社の戦略ストーリーと成長戦略とのフィットをよくよく考えることが大切です。 成長戦略が従来のストーリーの自然な延長上にあれば、これまでの自社の戦略ストーリーの強みをそのまま発揮することができます


まずは自分自身が面白くて仕方がない、これが絶対の条件です。 そのことを考えていると時間が経つのを忘れてしまうほど心底面白いことであれば、いくらでも エネルギーを投入できます。 努力が苦痛になりません。 (中略) 「何を」「どのように」も大切ですが、それ以前に「なぜ」についての全員の深い理解がなくては実行にかかわる人々のモチベーションは維持できませんし、総力戦にはなりえません。 ストーリーを全員で共有していれば、自分の一挙手一投足が戦略の成否にどのようにかかわっているのか、一人ひとりが根拠を持って日々の仕事に取り組めます。 (中略) ひとたび戦略をつくったら、リーダーはありとあらゆる機会、フォーマルなミーティングだけでなく、インフォーマルな日常の接触の機会を捉えて、戦略を組織のメンバーに伝え、理解させなければなりません


自分が楽しい、自分のためになるということだけでは、スタートダッシュは効いても、決して長続きしません。 (中略) 結局のところ「世のため人のため」なのです


「好きこそものの上手なれ」です。 自分が好きで、心底面白いと思えることであれば、人は持てる力をフルに発揮できます。 その結果、よい仕事ができるし、自分以外の誰かの役に立てる。 人の役に立っているという実感が、ますますその仕事を面白くする。 ますます好きになり、能力に磨きがかかる。 こうした好循環が仕事を持続させるのだと思います。 「世のため人のため」はつまるところ「自分のため」ですし、本当に「自分のため」になることをしようとすれば、 自然に「世のため人のため」になります



※文章や言葉は前後の文脈によって理解が深まるもの。 ご関心のある方は、ぜひ本書を手にとってみてください。 ≫ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件


「本当のところ、何を売っているのか」。

当事務所の場合は、見たままであれば遺言書や契約書の作成、会社設立、営業許認可などの法律手続サービスを売っているわけですが、本当のところは、「お客様のハッピーな将来」を売っていると考えています。 これが当事務所のコンセプトです。

そしてポジショニングは、信用金庫など地域金融機関のサポーターであり、地元杉並区・練馬区を中心とする地域企業・地域住民のサポーターという立ち位置です。 現在は組織に属さず、個の専門家として活動していますが、必要に応じて、同じ志を持つパートナー専門家と連携しながらお客様の問題解決に当たっています。

クリティカル・コア、すなわち、「それだけでは一見して非合理だけれども、ストーリー全体の文脈に位置づけると強力な合理性を持っている」ものとしては、例えば地域金融機関との関係で言えば、紙媒体のニュースレターを通じて、毎月30数店舗の信用金庫職員様に向けて相談業務に役立つ情報をお届けしています。 また、仕事用に「スーパーカブ110」を導入してからは、店舗への訪問頻度が上がり、よりアナログ的に職員様と情報交換をする機会が増えました。

これらのコンセプト、ポジショニング、クリティカル・コアの「一貫性」という意味においては、これまでの自分の人生経験、キャリア経験から、自然とこのような仕事の形になりました。

筋の良いストーリーかどうかはさておき、今は心底面白いと思える仕事をさせていただいています。



ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)



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.26 2011 ビジネス書 comment0 trackback0

「コラボ消費」時代の到来。その心得とは?『シェア』【読書】

 
こんにちは、ほこだてです。

本日は、今年の読み初めとなった一冊をご紹介します。


シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略
シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略
レイチェル・ボッツマン (著), ルー・ロジャース (著), 小林 弘人 (監修), 関 美和 (翻訳)

【目次】
イントロダクション──私のものはあなたのもの
■パート1 新しいシェアが生まれるまで
 第 一 章 もうたくさんだ
 第 二 章 ハイパー消費の時代
 第 三 章 「私」世代から「みんな」世代へ
■パート2 グランズウェル
 第 四 章 コラボ消費の登場
 第 五 章 所有よりもすばらしい──プロダクト=サービス・システム
 第 六 章 因果応報──再分配市場
 第 七 章 みんな一緒──コラボ的ライフスタイル
■パート3 何が起こるか?
 第 八 章 コラボ・デザイン
 第 九 章 コミュニティはブランドだ
 第 十 章 シェアの進化


「そもそもモノを所有しなくても、利用(シェア)できれば十分」という価値観をベースとして生まれた消費スタイル、「コラボ消費」。

本書は、その「コラボ消費」のビジネス事例を多数紹介しながら、時代背景的な必然性、サービスの類型、これから起こる未来について論じています。

デジタル、テクノロジー、P2Pなど、インターネットの技術がキーとなっているところは、昨年の読み初めの一冊「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」/クリス・アンダーソン (著)にも通ずるところ。

※過去の記事
「フリー」から読み解く、今後10年のビジネスモデル【読書】
http://eiichilaw.blog73.fc2.com/blog-entry-29.html

加えて、変化の時代、地域社会、環境問題といったキーワードも、この「コラボ消費」時代の到来をリアリティを持って感じられる要因となっているのだと思います。

次の10年間に重大な影響力を持ち、これからの社会でコアの「文化」になるであろう「コラボ消費」時代の心得が学べる、ビジネス、ライフスタイルの価値観にも大きな影響を与えてくれる一冊です。



■気づきのチェックポイント



コラボ消費によって、人々はモノやサービスを所有せずに利用することの莫大なメリットに気づいただけでなく、同時にお金や空間、時間を節約できることも、新しい友人をつくれることも、活発な市民に戻ることができることにも気がついた。 (中略) これらのシステムは、利用効率を上げ、ムダを減らし、よりよい商品の開発を促し、過剰生産と過剰消費によって生まれた余剰を吸収することで、環境に大きく貢献する


過剰消費の20世紀には、信用履歴や広告、所有物によってその人が定義されたのに対し、コラボ消費の21世紀には、評判や属するコミュニティ、何にアクセスできるか、どうシェアするか、また何を手放すかが、人を定義するだろう


今、私たちは「自分にどんな得があるか」を追い求めることから「みんなにとってどんな得になるか」を考えようとするその大きな転換期にいる。 それ以上に、個人の利益と社会の利益が、お互いの肩にかかっていることもわかりはじめた。


プロダクト=サービス・システム(PSS) (中略) ユーザーにとっては二倍のメリットがある。 まず、品物の代金を全額払わなくていい。 維持費、修理費、保険料などが節約できるうえに、持てる資産を最大限に活用することもできる


インターネットのおかげで、メンバー同士を調整し、規模を拡大し、物理的な隔たりを飛び越えることができるようになった


四つの大切な原則があることがわかる―それは、「クリティカル・マスの存在」「余剰キャパシティの活用」「共有資源の尊重」、そして「他者との信頼」だ


クリティカル・マスがコラボ消費に欠かせない要素だというもうひとつの理由は、コアなファンやリピーターが最初に集まるからだ。 (中略) 「社会的承認」 (中略) この「おすみつき」によって、新しもの好きのアーリーアダプターだけでなく、ふつうの人たちが、これまでと違う行動をとる時に感じる心理的な壁を乗り越えることができる


コラボ消費の経験は、「消費すること」もさることながら「コラボレーションすること」が楽しいのだ


P2P企業の役割は、キュレーターや大使のように交換や寄付といった取引が自己管理されることを促すプラットフォームをつくりだすことだ。 (中略) この新しい仲介者の役割は、親しみがわき信頼が築かれるような適切なツールと環境をつくり、ビジネスとコミュニティが出会う場所を提供することだ。 また、そのようなサービスを提供し、こうした役割を負うことで、企業はサービス料を徴収できる


寿命延長型PSSでは、モノがつくられた時点や、販売された時点で企業の責任は終わらない― 製品のライフサイクルすべてに企業が責任を負うことになる (中略) 必要以上の責任を負う寿命延長型PSSは、費用がかかりすぎると初めは考える企業も少なくない。 しかし、企業は材料や部材を使い回しできるだけでなく、修理やメンテナンス、また製品のアップグレードなどをとおして付帯的なサービスから収益を上げ、顧客とより緊密な関係を保つことができる


ソーシャルネットワークでは、助け合いが間接的に行われる(間接的互酬性)。 (中略) いまどきの助け合いの仕組みは、「私があなたを助ければ、だれかが私を助けてくれる」というものだ


買い手は評価の高い売り手から買いたがり、過去の評価の高い売り手が出品したアイテムは、まったく同じ品物でも評価の低い売り手が出品したものより、 8パーセントも高い値段で売れることが調査でも示されている


変化の激しい業界(すべての企業はそんな状況にあるが)で仕事をするために、デザイナーは、テクノロジー、行動科学、マーケティングのすべてを総合的に理解する必要がある


コミュニティはコラボ消費のブランドにとってのDNAだ。 だから、ユーザーは消費者ではなくメンバーと呼ばれる。 ひとたびメンバーになれば、さまざまなメリットを手に入れられる。 ステータス、アイデンティティ、共通の利益、そしてオーナーシップなどだ。 (中略) コミュニティはブランドだ。 そしてブランドはコミュニティの持ちものだ


私たちは、すごいペースで変化に適応している。 コラボ消費もまた、急速に成長してゆくだろう。 なぜなら、コラボ消費は、シェアと交換という本能的で自然な行為がベースになっているからだ


ブレインウォッシュのアプローチと洗濯機論争のいちばん大きな違いは、消費者を変えようとするのではなく、システム自体を変えたことだ。 しかも、一人ひとりにほとんど負担をかけることなく、よりサステイナブルで魅力的な方法で人々の欲求を満たすシステムにした。 (中略) 間接的で結論を押し付けないアプローチをとることで、コラボ消費は、集産主義や環境至上主義といったステレオタイプの殻を破り、消費者にとってもっと役に立つことをさせる


今では、評判は心理的な報酬や通貨になるというだけでなく、実際の通貨にもなる ―これが、評判資本と呼ばれるものだ


「10年後には、もっとも高い評判と信頼のネットワークをもつ人たちが、金持ちや権力者に代わって、力や影響力をもつことになるだろう」クレイグズリストの創業者、クレイグ・ニューマークは最近こうコメントした



※文章や言葉は前後の文脈によって理解が深まるもの。 ご関心のある方は、ぜひ本書を手にとってみてください。 ≫シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略


プライベートで私が所属している地元のまちづくり団体「まちづくり上井草」

そのメンバーでもある方が、練馬区の石神井や、杉並区の井草、井荻など「井」がつく地域の素敵な個店を募って、『井』という個店コミュニティを運営されています。

『井』ホームページ
http://i-mondo.p1.bindsite.jp/

従来の行政区画や商店街という括りではなく、「エリア特性」と「こだわり」というフィルターをかけたユニークなコンセプトの個店コミュニティで、年に3回のペースで発行しているフリーペーパーは、手に取ると思わず行ってみたくなる「井」エリアの個性的なcafe、飲食店、雑貨屋、古本屋などがイラストマップとともに紹介されています。

フリーペーパー『井』の紹介ページ
http://i-mondo.p1.bindsite.jp/place/index.html

今後『井』が、ソーシャルネットワークなども活かして、地域の人々のプラットフォームに育つことを期待しています。



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.11 2011 ビジネス書 comment2 trackback0

池上彰の “わかりやすさ” を仕事に活かす⇒「伝える力」【読書】

 
こんにちは、ほこだてです。

本日は、テレビ「そうだったのか! 池上彰の学べるニュース」でおなじみのジャーナリスト・池上彰氏の “わかりやすさ” のエッセンスが学べる一冊をご紹介します。


伝える力 (PHPビジネス新書)
伝える力 (PHPビジネス新書)
池上 彰 (著)

【目次】
第1章 「伝える力」を培う
第2章 相手を惹きつける
第3章 円滑にコミュニケーションする
第4章 ビジネス文書を書く
第5章 文章力をアップさせる
第6章 わかりやすく伝える
第7章 この言葉・表現は使わない
第8章 上質のインプットをする


今年の流行語大賞でトップテン入りした言葉、「いい質問ですねぇ」。

池上氏は、日々のニュースを子どもたちにわかりやすく解説するNHKのテレビ番組「週間こどもニュース」に出演していた頃、「どうやって世の中で起きている事件や事故、出来事をわかりやすく伝えるか」について、素朴な疑問で本質をついてくる子どもたちから多くのことを学んだそうです。

本書を読んだ後にテレビで活躍する池上氏を見て、その “わかりやすさ” に思わず「なるほど」と納得しました。

“わかりやすさ” = “伝える力” は、「商談や会議、打ち合わせ、プレゼンテーション、企画書や報告書の作成、電話での交渉、メールを使った連絡、ファックス、手紙」など、現代のビジネスパーソンにとっても必須の能力。

発行部数が100万部を越えたベストセラーになったのは、多くのビジネスパーソンが本書を支持した結果なのでしょう。

サラッと読めるのに奥が深い、仕事にも活かせるお薦めの一冊です。



■気づきのチェックポイント



意味がわからないまま読んだり話したりすると、それを聞いている相手も意味がわからない


何かを調べるときには、「学ぼう」「知ろう」という姿勢にとどまらずに、まったく知らない人に説明するにはどうしたらよいかということまで意識すると、理解が格段に深まります。 理解が深まると、人にわかりやすく、正確に話すことができるようになります


自分がわかっていないと、人に正確に、わかりやすく伝えることは不可能です


企画やプレゼンテーションの類ではなく、日常の会話でも、相手がどんなときに「へぇー」という反応を見せたか、注意して見ていきましょう。 そのときの内容を覚えておいて、別の人に話すときには、その部分をキーワードにしてみようなどと考えることもできます


他人の失敗談はおもしろいものです。 他人の自慢話は、しゃべっている本人は楽しくても、聞いているほうはしらけます。 (中略) おもしろがるだけでなく、「この人は、自慢話をするのではなく、素直に自分の失敗を語れるなんて、ざっくばらんな人ね」と好感度がアップするのです


10秒あれば、かなりのことが言える。 30秒あれば、起承転結を含めた話もできる。 しかし、15分ぐらいまでは、1つのテーマに絞って話をしたほうがよいというのが、私の実感です


いちばん望ましいのは悪口の類をいっさい言わないことですが、人間だから、腹の立つことも、不満を募らせることもある。 (中略) そこで、現実的な線引きとして、悪口を言う場合は、面と向かって言えるレベルにとどめる。 そうすることで、人としての最低限の品位は保つことができるし、人との信頼関係も築くことができるようになるはずです


「難しく書くことは簡単だが、わかりやすく書くことは難しい」のです。 (中略) 噛み砕いて表現できるのは、そのことについて、深く理解しているからこそなのです


改めて「使わないほうがよい言葉や文字」をおさらいしてみましょう。

・そして/それから
・順接の「が」
・ところで/さて
・いずれにしても
・絵文字の類



※文章や言葉は前後の文脈によって理解が深まるもの。 ご関心のある方は、ぜひ本書を手にとってみてください。 ≫伝える力 (PHPビジネス新書)



私の仕事は、お客様に法律手続サービスを提供することです。

その仕事の性格上、お客様にとって普段なじみのない法律知識・用語は常についてまわります。

例えば、手付放棄・倍返し、危険負担、債務不履行、瑕疵担保責任 etc……

お客様に安心していただいて手続を進めて行くために、専門的な知識・用語をいかにわかりやすく伝えるか、というのはいつも意識するところです。

やはり大切なのは、お客様に法律や手続のことをご説明する前に、自分自身がその知識・用語について本質的に理解し、腑に落としておくということ。

まさに「自分がわかっていないと、人に正確に、わかりやすく伝えることは不可能」であると実感します。

日々、精進あるのみですね。



伝える力 (PHPビジネス新書)



=追記=

当事務所が “わかりやすさ” をとことん追い求めて制作した、『遺言書作成ガイドブック』
http://www.hokodate-jimusyo.com/free.html

写真(左上)は、東京三協信用金庫 井荻駅前支店様が待合ロビーに設置して下さっているガイドブック(印刷版)の見本です。

20101215.jpg

さすがに、手前の絵本の “わかりやすさ” にはかなわないっす。



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.19 2010 ビジネス書 comment0 trackback0

あとは、実際にそれをやるだけ⇒お客さまの「特別」になる方法【読書】

 
こんにちは、ほこだてです。

当ブログでたびたびその著書をご紹介している、マーケティングコンサルタントの小阪 裕司氏。

※過去の記事

お客さんの「買いたい!」のスイッチを押す方法【読書】(March.21 2010)

今こそ地域で取り組みたい、「ありがとう」と言われる商い【読書】(August.10 2010)


毎作、マーケティングを科学的なアプローチと情緒的なアプローチでわかりやすく語っているところが私的にはとても肌に合うのでしょう。 新作が出ると迷わず買ってしまう著者の一人です。

本日は、そんな氏の最新作をご紹介します。


お客さまの「特別」になる方法  「リレーションシップ・キャピタル」の時代 (角川oneテーマ21)
お客さまの「特別」になる方法 「リレーションシップ・キャピタル」の時代
小阪 裕司 (著)

【目次】
第1章 「買いたい!」を生むもうひとつの動機
第2章 絆が生む9つのベネフィット
第3章 絆を求める脳と利他的行動
第4章 企業との間に絆が生まれるには
第5章 絆を生み育むための具体的な方法
第6章 絆が変えていくビジネスの未来


毎回小阪氏の本を読んで思うのは、売上減を不況のせいだけにしている、旧態依然の商売から抜け出せずにいる個人商店の経営者にこそ、氏の本を読んでほしいということ。

やるべきことはここに書いてある。 あとは、実際にそれをやるだけなのだと。



■気づきのチェックポイント



「同じ商品がすぐ近くで安く売られているのに、どうして高い方を買うのですか?」 (中略) 「それは、この店から買いたいからですよ」


絆作りは顧客の囲い込みではない。 そもそも「価値ある関係性を維持したいという持続的な願望」や好意や愛情をお互いが持っているとき、囲い込む必要があるだろうか


現代は、インターネットの価格比較サイトなども充実している。 絆のようなベースや動機づけがない状態では、買いたいものをどこで買うかという選択は本当にドライになる


「いかに相手から分捕るか」ではなく「いかに相手の得にもなるか」を考えるようになる。 (中略) しかもそれは聖人君子のようなある特殊な人間に限った話ではない。 脳がそれによって快を得られ、そのように方向づけられているのであれば、誰にでも起こり得る話である。 しかもそこで決定的なことは、それが「誰にとっての利になるのか」という点だ。 それによって人は利己的にも利他的にもなれるのである


お客さんが利他的行動をしてあげたくなる「誰か」になればいいのである。 (中略) しかし利他的な行動をした方が、本当は脳もハッピーなのである。 なぜなら、それは生まれつき備わっているものだから


満足という気持ちの状態は、その店舗をまた利用する反復購買にはつながるが、コミットメントにはつながらない


例えばここに二軒のレストランがあるとしよう。 両店ともおいしいものを出していて、雰囲気もよく、接客も感じがいい。 その上で絆を作れば、お客さんは絆のある方へ流れていくだろう。 そのように、ある業界にA社からD社があり、商品やサービスのコストパフォーマンスや満足に大差ないとすると、そのときは何の勝負になるかといえば、絆だ


共感とは音叉が共鳴するようなものだから、共感してもらいたい側に何もないと、共感は起こらないのである。 したがって、お客さんに共感してもらうためには、こちらの側に何かがなくてはならない。 その「何か」とは、経営理念やミッション、わが社の存在意義、事業目的、ヴィジョン、やりたいこと、成し遂げたいこと、こだわり、いきざま、さまざまあるだろうが、そのどれでも良い。 どれでも良いのだが、なければならないのだ。 そして共感を得るには、それを隠しておいては得られない。 知らせる必要があるのだ


絆作りに当たっては、次の三つの取り組みテーマがある。

一、顧客とのつながりを持つ
二、絆を作る
三、顧客コミュニティを育てる


絆作りにおけるコミュニケーション力は、上手い下手ではない。 自分らしくあるかどうかが、決め手である



※文章や言葉は前後の文脈によって理解が深まるもの。 ご関心のある方は、ぜひ本書を手にとってみてください。 
お客さまの「特別」になる方法 「リレーションシップ・キャピタル」の時代


「顧客とのつながりを持つ」ためのブログニューズレターや、

「絆を作る」ための自己開示されたプロフィール経営理念など。

「商売が時代と合わなくなってきた」「不況だから」と言う前に、やることはたくさんあるはずです。

幸い今の時代は、参考となる情報はネットで集められますし、具体的なやり方・方法についてはたいがいのことはすでに書籍になっています。

あとは素直さ、行動力、他者(顧客、信頼できるアドバイザー)からのフィードバック

結局、商売はその繰り返しなのだと思います。

自戒の念を込めて。


お客さまの「特別」になる方法  「リレーションシップ・キャピタル」の時代 (角川oneテーマ21)




=追記(12/15)=

上井草駅前の芝信さん前にある商店街掲示板が、期間限定でクリスマス仕様に飾り付けされています。

ご近所にお住まいの方、細部まで丁寧に仕上げられた手仕事をぜひご覧になってみてください。

20101213.jpg



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.13 2010 ビジネス書 comment0 trackback0

持続する「やる気!」を引き出すには?『モチベーション3.0』【読書】

 
こんにちは、ほこだてです。

ビジネス書クラシックス、『ハイ・コンセプト』の著者として知られるダニエル・ピンク。

著書『ハイ・コンセプト』では、18世紀を「農業の時代」、19世紀を「工業の時代」、20世紀を「情報の時代」、21世紀を「コンセプトの時代」と位置づけ、これからの時代に求められる「六つの感性(センス)」として、

 ①機能だけでなく「デザイン」
 ②議論よりは「物語」
 ③個別よりも「全体の調和(シンフォニー)」
 ④論理ではなく「共感」
 ⑤まじめだけでなく「遊び心」
 ⑥モノよりも「生きがい」

が重要であるとし、簡単に代替のきかない、「創造する人、他人と共感できる人」の時代が訪れていると論じています。

ご関心のある方はぜひ一読を。

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代
ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)



さて、本日ご紹介するのは、そのダニエル・ピンクの最新刊。

ビジネスにおいて、持続する「やる気!」をいかに引き出すかという「モチベーション」にフォーカスした一冊です。


モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

【目次】
◇訳者まえがき
◇はじめに
◇第1部 新しいオペレーティング・システム
・第1章 〈モチベーション2・0〉の盛衰           
・第2章 アメとムチが(たいてい)うまくいかない7つの理由      
・第2章の補章 アメとムチがうまくいく特殊な状況
・第3章 タイプIとタイプX
◇第2部 〈モチベーション3・0〉3つの要素
・第4章 自律性〈オートノミー〉      
・第5章 マスタリー(熟達)      
・第6章 目的      
◇第3部 タイプIのツールキット


日本とは企業文化が異なるアメリカ企業の事例が中心ではありますが、そのことを差し引いても、「何のために仕事をしているのか?」という意義を改めて考えさせ、気づかせてくれる良書です。

帯の「21世紀版『人を動かす』」のコピーが示すように、本書もまた私にとってのビジネス書クラシックスとなりそうです。



■気づきのチェックポイント



外的な報酬と罰―つまりアメとムチ―は、アルゴリズム的な仕事には効果を発揮するが、ヒューリスティックな仕事には、むしろマイナスに作用するおそれがある


結局、食うために生きている、というレベルでは、モチベーションはまったく上がらない


「絵画にしろ彫刻にしろ、外的な報酬ではなく活動そのものに喜びを追い求めた芸術家のほうが、社会的に認められる芸術を生み出してきた。 結果として、外的な報酬の追求を動機としなかった者ほど、外的な報酬を(生涯では)得たことになる」


まず、基本的な報酬ラインを十分に保証する必要がある。 つまり、同様の組織で同様の仕事をしている者と比較した場合に、基本的な給与が適正で公平でなくてはいけない


「プロフェッショナルとは、自分が心から愛することをするということだ。 たとえどんなに気乗りがしない日であっても」 (「バスケットボールの殿堂」入りを果たした、Dr.Jことジュリアス・アービング)


ベビーブーマー世代とその子ども世代は「成功の定義の見直しを図り、根本的に『再(リ)ミックスした』報酬を進んで受け入れている」。 どちらの世代も、金銭をもっとも重要な報酬とみなしていない。 代わりに、金銭以外のさまざまな要因―「素晴らしいチームと仕事ができる」から「仕事を通じて社会に還元できる」までの“混合薬”―を選択する。 さらに、既存企業にそうした満足感を得られる報酬が見つからない場合には、自分でベンチャーを起こす


<モチベーション3.0>の企業の狙いは、倫理に反せず法を順守するよう努めながら、利益を追い求める従来企業とは似て非なるものである。 利益を目指すのではなく、利益を触媒として、「目的」の達成を目指す企業のことである


健全な社会、および健全な企業組織は、まず目的ありきなのである。 そして、利益を目的達成の方法、または目的達成のうれしい副産物とみなす


外発的理由―たとえば結婚式のためにやせたいとか、同窓会で見栄を張るなどのために減量したいと望んでいる人は、目標を達成しやすい。 ところがその後、目指していた行事が終わると、すぐに体重はもとへ戻る。 一方で、内発的な目標―快適に過ごすために身体を鍛えたい、家族のために健康を維持したいなど― を抱く人は、すぐに成果は表れないかもしれないが、長期的には非常に素晴らしい結果が得れれる


この新しいアプローチには三つの重要な要素がある。 一つは<自律性>―自分の人生を自ら導きたいという欲求のこと。 二番目は<マスタリー(熟達)>―自分にとって意味のあることを上達させたいという欲求のこと。 三番目は<目的>―自分よりも大きいこと、自分の利益を超えたことのために活動したい、という切なる思いのことだ



※文章や言葉は前後の文脈によって理解が深まるもの。 ご関心のある方は、ぜひ本書を手にとってみてください。 
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか


前回の放送でついに最終回(!!)を迎えてしまったNHK大河ドラマ『龍馬伝』

以前ドラマの中のシーンで、後に三菱財閥を創業する岩崎弥太郎と海援隊の沢村惣之丞が言い争う場面がありました。


惣之丞 「弥太郎、おまんは何のために商いをしている?」

弥太郎 「そんなこと決まってるろう! わしは大きな商いをして大儲けをするがぜよ!」

惣之丞 「こすいのう、弥太郎。 わしらはのう、龍馬が思う存分動くことができるように、
      商いをしているがぜよ」


確か、そのような内容だったと思います。


そして当の龍馬は、

「みんなが笑うて暮らせる国をつくりたいがじゃき」

「この国に生まれてきて、まっこと良かったと思える国をつくるがじゃ!」

と、常々自分の思いを仲間に言って聞かせていました。


まさに本書で言う、「自分よりも大きいこと、自分の利益を超えたことのために活動したい、という切なる思い」が、龍馬やその仲間達にとっての大きなモチベーションになったのでしょうね。



モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか




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.29 2010 ビジネス書 comment0 trackback0
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