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優れた戦略とは筋の良いストーリー『ストーリーとしての競争戦略』【読書】

 
こんにちは、ほこだてです。

本日は、昨年出版されて以来、今もなお話題になっている経営戦略本をご紹介します。


ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件
楠木 建 (著)

【目次】
第1章 戦略は「ストーリー」
第2章 競争戦略の基本論理
第3章 静止画から動画へ
第4章 始まりはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」


著者の楠木建氏は、一橋大学大学院の教授。

本書の冒頭で氏は、自分は学者であり、いわゆるビジネスの「実務経験」はないと言い切りながらも、「(経営には)即効性のある処方箋も、優れた戦略の「法則」もありません。 しかし、優れた戦略の「論理」は確かにあるのです」と語り、学者ならではのポジショニングで膨大な研究と取材によって紡ぎ出された戦略論を実務家に向けて示す、といった姿勢を打ち出しています。

「戦略の神髄は思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある」と本書の帯にあるように、本書の構成もまたストーリー性を帯びたものになっており、500ページを超えるボリュームながら一気に面白く読ませていただきました。

私的には、ダニエル・ピンクの名著『ハイ・コンセプト』からの文脈で、議論よりは「物語」(ストーリー)が重要であるとする考え方が経営戦略にも繋がっていると学ぶことができ、とても多くの気づきを得ることができました。



■気づきのチェックポイント



優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリーだ


戦略を構成する要素がかみあって、全体としてゴールに向かって動いていくイメージが動画のように見えてくる。 全体の動きと流れが生き生きと浮かび上がってくる。 これが「ストーリーがある」ということです


どんな戦略ストーリーでも、エンディングは決まっています。 それは「持続的な利益創出」というハッピーエンドです。 (中略) エンディングは決まっているので、終わりから逆回しに考えたほうが、一貫したストーリーを組み立てやすいのです


優れた戦略家は、機会や脅威を受けてある特定のアクションをとるときに、それがストーリー全体の文脈でどのような意味を持つのか、それを取り巻く他の構成要素とどのように連動し、競争優位の構築や維持にとってどのようなインパクトを持っているのかを深く考えます。 ストーリーという視点がもたらす洞察を基準にして、新しい要素を取り込み、その一方でこれまで手がけていた打ち手を廃除する、こうした微調整の繰り返しで戦略ストーリーは徐々に練り上げられていくものです


コンセプトは最終的には短い言葉として表現されます。 それは、一言でいってそのビジネスが本当のところ何であり、何ではないのかを凝縮して表出する言葉です


誰に何を売っているのか。 見たままであれば、答えは自明です。 しかし、「本当のところ、何を売っているのか」というのがポイントです。 PCの会社は見たままでいえばPCを売っているわけですが、本当のところ、売っているものはPCではありません。 (中略) 本当のところ顧客が何にお金を払っているかというと、PCを使うことによって得られる何かなのです


数値目標の設定はストーリーを実際に動かすうえでの必須の作業工程ではありますが、「数字」だけではコンセプトにはなりません。 (中略) 「数字よりも筋」です。 優れたコンセプトが筋のよいストーリーを駆動していけば、数字は後からついてきます。 この順番が逆転してしまえば本末転倒です。 数字も実現できません


「コンセプトは人間の本性を捉えるものでなくてはならない」 (中略) 人間の本性とは、要するに、人はなぜ喜び、楽しみ、面白がり、嫌がり、悲しみ、怒るのか、何を欲し、何を避け、何を必要とし、何を必要としないのか、ということです


できるだけ賞味期限の長いストーリーをつくるためにも、人間の変わらない本性を捉えたコンセプトが大切になります。 事業を取り巻く環境や機会は常に変化するものです。 絶えず変化していく環境や機会の表層を追いかけ回してしまうと、結局のところ目が回るだけで、筋の良いストーリーは生まれません


人間の本性を見つめる。 それは「マーケティング調査をして顧客のニーズを知りましょう」という話とはまるで異なります。 顧客のことを知悉しなければコンセプトは生まれませんが、だからといって顧客の声をいくら聞いても、人間の本性を捉えたコンセプトにはなりません。 顧客はそもそも「消費すること」「買うこと」にしか責任がないからです。 責任がない人に過剰の期待を寄せるのは禁物です


自分ほどリアリティを持って理解できる「顧客」は他にはありません。 (中略) ごく日常の生活や仕事の中で、嬉しかったこと、面白いと思ったこと、不便を感じたこと、頭にきたこと、疑問に思ったこと、そうしたちょっとした引っかかりをやり過ごさず、その背後にある「なぜ」を考えることを習慣にする


「それだけでは一見して非合理だけれども、ストーリー全体の文脈に位置づけると強力な合理性を持っている」という二面性、ここにこそクリティカル・コアの本質があります。 (中 略) 競争相手がわれわれのしていることを非合理だと考えていれば、たとえ 「まねしてください」とお願いしても「イヤだよ」と向こうから断ってくれるでしょう


「これから」の外的機会よりも、「これまで」の自社の戦略ストーリーと成長戦略とのフィットをよくよく考えることが大切です。 成長戦略が従来のストーリーの自然な延長上にあれば、これまでの自社の戦略ストーリーの強みをそのまま発揮することができます


まずは自分自身が面白くて仕方がない、これが絶対の条件です。 そのことを考えていると時間が経つのを忘れてしまうほど心底面白いことであれば、いくらでも エネルギーを投入できます。 努力が苦痛になりません。 (中略) 「何を」「どのように」も大切ですが、それ以前に「なぜ」についての全員の深い理解がなくては実行にかかわる人々のモチベーションは維持できませんし、総力戦にはなりえません。 ストーリーを全員で共有していれば、自分の一挙手一投足が戦略の成否にどのようにかかわっているのか、一人ひとりが根拠を持って日々の仕事に取り組めます。 (中略) ひとたび戦略をつくったら、リーダーはありとあらゆる機会、フォーマルなミーティングだけでなく、インフォーマルな日常の接触の機会を捉えて、戦略を組織のメンバーに伝え、理解させなければなりません


自分が楽しい、自分のためになるということだけでは、スタートダッシュは効いても、決して長続きしません。 (中略) 結局のところ「世のため人のため」なのです


「好きこそものの上手なれ」です。 自分が好きで、心底面白いと思えることであれば、人は持てる力をフルに発揮できます。 その結果、よい仕事ができるし、自分以外の誰かの役に立てる。 人の役に立っているという実感が、ますますその仕事を面白くする。 ますます好きになり、能力に磨きがかかる。 こうした好循環が仕事を持続させるのだと思います。 「世のため人のため」はつまるところ「自分のため」ですし、本当に「自分のため」になることをしようとすれば、 自然に「世のため人のため」になります



※文章や言葉は前後の文脈によって理解が深まるもの。 ご関心のある方は、ぜひ本書を手にとってみてください。 ≫ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件


「本当のところ、何を売っているのか」。

当事務所の場合は、見たままであれば遺言書や契約書の作成、会社設立、営業許認可などの法律手続サービスを売っているわけですが、本当のところは、「お客様のハッピーな将来」を売っていると考えています。 これが当事務所のコンセプトです。

そしてポジショニングは、信用金庫など地域金融機関のサポーターであり、地元杉並区・練馬区を中心とする地域企業・地域住民のサポーターという立ち位置です。 現在は組織に属さず、個の専門家として活動していますが、必要に応じて、同じ志を持つパートナー専門家と連携しながらお客様の問題解決に当たっています。

クリティカル・コア、すなわち、「それだけでは一見して非合理だけれども、ストーリー全体の文脈に位置づけると強力な合理性を持っている」ものとしては、例えば地域金融機関との関係で言えば、紙媒体のニュースレターを通じて、毎月30数店舗の信用金庫職員様に向けて相談業務に役立つ情報をお届けしています。 また、仕事用に「スーパーカブ110」を導入してからは、店舗への訪問頻度が上がり、よりアナログ的に職員様と情報交換をする機会が増えました。

これらのコンセプト、ポジショニング、クリティカル・コアの「一貫性」という意味においては、これまでの自分の人生経験、キャリア経験から、自然とこのような仕事の形になりました。

筋の良いストーリーかどうかはさておき、今は心底面白いと思える仕事をさせていただいています。



ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)



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.26 2011 ビジネス書 comment0 trackback0

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Author:鉾立 榮一朗(hokodate eiichilaw)
行政書士 鉾立榮一朗事務所
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